腰痛(侵害受容性疼痛)

侵害受容性疼痛についてです。

 

日常で生じる筋性腰痛、ぎっくり腰(腰椎捻挫)、椎間関節由来、仙腸関節由来の痛みは侵害受容性疼痛に分類されます。

 

侵害受容性疼痛は熱刺激、機械刺激、化学刺激により、惹起される痛みです。

筋性疼痛は筋への微細な損傷(炎症反応)、血行不良による化学刺激により痛みを生じます。

ぎっくり腰、椎間関節、仙腸関節由来は靭帯、関節に過度の負荷がかかり損傷、炎症により痛みを生じます。

 

ここまでで、痛みの起こるメカニズムはざっくり説明しましたが、なぜこの現象が起こるかが大切です。

 

骨の特徴

脊椎は頚椎(7個)、胸椎(12個)、腰椎(5個)、仙骨、尾骨で構成されます。それぞれ可動性はあるものの肩や股関節などの大きな関節と比べるととても少ないです。特に胸椎は胸郭(肋骨、胸骨)があるため、ほとんど動きません。腰椎も曲げたり伸ばしたりする方向には若干動きますが、ねじったり、横に曲げる動きは少ないです。また、骨盤と脊椎の間の仙腸関節という関節も動きは少なく、関節の間は痛みを感じとる感覚受容器というセンサーが多いため、少しの機械的な刺激で痛みを感じてしまいます。

 

筋の特徴

腹部には腹直筋、内・外腹斜筋、脊柱起立筋群などのアウターマッスル、腹横筋、多裂筋、横隔膜、骨盤底筋群などのインナーマッスルがあります。アウターマッスルが体を動かす(求心性・遠心性収縮)、インナーマッスルが体を止める(等尺性収縮)を行います。筋肉はどこかが弱いとどこかが頑張る必要があります。

 

上記特徴を踏まえ、

【筋性疼痛】インナーマッスルが弱い、使われていない場合はアウターマッスルである脊柱起立筋に過度な負担がかかります。それゆえ筋の損傷、筋の過剰な収縮により血管が圧迫され血行障害をおこし、痛みを生じます。

【ぎっくり腰、椎間関節由来】腰椎の上下の関節の可動性の低下により腰椎の過可動性が求められ、椎間関節に圧迫、離開する機械的なストレスがかかり、疼痛を生じます。上下の関節とは全身はすべて連なっているため、どこから影響を受けているかは検討が必要です。わかりやすいものとして、股関節周囲の筋・靭帯の伸張性の低下(大腿四頭筋、大腿筋膜張筋、腸脛靭帯、ハムストリングス)は骨盤に影響を与え、間接的に腰椎に負担をかけることになります。